山の暮らしと文化を発信するWebマガジン

4歳の娘と一緒に、天然のメイプルシロップ作り

vol.1

どうぞよろしく、カエデの樹!

4歳の娘と一緒に、天然のメイプルシロップ作り

 

 

娘と一緒に日常を丁寧に暮らしたい!

 

移住先のこの地を、そんな思いで毎日おさんぽしていたら、
「子どもの声が響くのはウン十年ぶり!」と、

集落のみなさんが温かく受け入れてくださいました。

 

山も、川も、つり橋も、流木も。

ここでは、どこもかしこも遊び場です。

 

文と写真:上原若菜

 

 

初挑戦! 樹液300リットルを煮詰めてシロップに

メープルシロップの瓶詰とラベル貼りをついにやり終えました。ノートを見返せば、始まりは去年の1月。私と4歳の末娘の、長い冬の一大プロジェクトとなりました。

 

 

「今年もメープルシロップの時期がきたぞ。今回、煮詰め作業をやってみないか?」それは、ご近所さんとのいつもの会話から出てきた話。樹液を集めてくるのは数人でやって、それをまとめて煮詰めてくれないか、ということのようです。

 

 

話しには聞いたことがあったんですが、樹液を煮詰めて煮詰めて50分の1まで凝縮させて、1%にも満たなかった糖度を55%にまでもっていくのだそうです。
えっと、私にもできるのかな。

 

 

いや、こんなチャンス逃しちゃいけない! と、何はともあれやってみることに。

この始まり方は、全くいつもの通りで、これまで栃の実やらオニグルミやら色々なことに挑戦してきました。

 

 

発案者であり、今回ゼロから全て教えてくれたご近所の守さん。天然のメープルシロップ作りを習ってきて、この地域でもやってみようと始めた張本人でもあります。本当は樹液集め、煮詰め、瓶詰、ラベル貼りから販売まで、全部自分でやりたいところなのだけれど、どうしても忙しくて、樹液集めの時間しか取れないことが見えてしまったとのこと。

 

 

今年は中止、というわけにもいかず、どうにか今年も実現したかったシロップ作りだったそうです。そういうことなら、やはり毎日遊んでいる私と末娘が適任か……?

 


樹液で出来た、甘いツララのキャンディ

そうと決まれば、まずは樹液採集の仕掛けを設置すべく、雪の積もる林の中へ。雪遊び用の完全防寒で、守さんの後について林に入ります。

 

 

仕掛けといっても、見てびっくり、案外シンプルなもので、ドリルで数センチほど開けた穴に、40センチほどのホースをグッと差し込むだけ。


 

ホースの差込口には、密接するようにビニールテープを巻いておきます。ホースの反対側の口は、くくりつけたペットボトルへ入れておきます。あとは、ペットボトルの口の隙間からゴミや虫が入らないように、ガムテープでぐるりとカバー。……以上でした!

 

 

見ると、すでにホースを通って、ポタンポタンと樹液が流れてきています。どれだけのペースで樹液を集めることができるかどうかは、一本一本違うそうです。イタヤカエデやウリハダカエデといった木の種類や、樹齢、枝の張りぶり、気温など、色々な要素で決まるのだとか。

 

 

確かにあるカエデは、毎日行くたびに1.8リットルのペットボトルがいっぱいになっているのに、他のカエデは、半分にも満たなかったり。ペースをつかむためにも、ひとまず毎日様子を見てボトルを交換することにしました。

 

 

これがまた楽しい散歩で、私と末娘の冬の日課となりました。

 

 

カエデの樹は、山のあちこちにあります。なので始めのうちは、お目当ての樹にたどり着く道を覚えるのが大変でした。そういう時は、厚く積もった雪が大活躍で、前日の自分たちの足跡を辿っていけばたどり着けました。寒くても、目的をもって歩き回る雪山散歩はなかなか楽しいものです。

 

 

そう、寒いからこそ恩恵に与れるカエデの樹液。なんと、極寒のこの時期、2~3週間の間、しかも気温も低すぎず高すぎず、5~6度の時にしか採集できないのだとか。寒すぎる日には、ホースや穴から少し漏れた樹液が甘いツララとなってぶら下がっています。息を上げて山を駆け上ってきている末娘は、それを嬉しそうにポキンと折って食べていました。

 

 

週末で皆がいる時は、家族そろって樹液採集に繰り出したりもしました。友人や来客がいる時は、その人たちも一緒に。甘くて美味しいメープルシロップを夢見ながら、雪山の斜面を一緒に登って行きました。

 


大鍋でグツグツ炊いて、真冬でもストーブいらず

そうして少しずつ集めた樹液は、酸化を防ぐためにできるだけすぐに一度沸騰させます。そのための大きなガスバーナーや大鍋も用意して、ひとまず一気に沸かします。外で火を炊いた方が経済的なのはそうなのですが、何しろ初めての試みで様子が分からないこと。また、どこに駆け出していくか分からない末娘も一緒にいることなので、長時間火の番が出来るとも限りません。ということで、ひとまず今年はガスで室内での試みです。ところがこれが、思わぬ副産物がありました。

 

 

大鍋を朝からずっと、食事の間も家事の間も炊いているので、その熱と湿度の高いこと! なんとこの冬、灯油ストーブを出すことなく過ごしてしまいました。

そして、早やもう春の到来。山には雪もありません。瓶詰とラベル貼りを終えて、販売の準備もできました。40mlが120瓶、そして140mlが12瓶。煮詰める前の樹液は、なんと皆の分を合わせて全部で300リットルほど。

 

 

日本のカエデで作るシロップは、よくお店で目にするカナダ産のシロップと様子が全く違います。値段も高いですが、味もなんというかより繊細で、やさしい感じに思います。

 

 

値段が高いといっても、この全工程手作業なことや煮詰めにかかる時間などを考えると納得ではあるのですが、でも何よりこのシロップ作りの工程の楽しいのなんのって。商売のためだけでは、できない仕事だなぁ。樹液を採らせてくれたカエデの樹にも、この冬の初挑戦を指導してくれた守さんにも感謝です。

 

 

こうして、初めて迎えた奈良田の冬は、わくわくとカエデと共に過ごすことができました。

MAKAWAKAのメイプルシロップは、こちらでお買い求めいただけます☆
↓ ↓ ↓
☆山のWEBショップ☆
山暮らし天然FOODS

文・写真:上原 若菜
構成:ことり舎

Recommend
No articles